サービス産業を知る 2
日本国内で多様化し、進化しつづける第3次産業を取り上げるこの企画第2回。
今回は注文生産、いわゆるオーダーメイドをしてくれるサービスについてです。
こちらも前回のイルミネーションと同じく、
いわゆる「産業」として分類されることは極めて少ないですが、
今後はよりニーズが高まり、その種類も増えていくので、ひとつの産業としてまとめました。
「特別注文」ときくと、なんだか一部のセレブリティのためのサービスに思えますが、
好みや生活が多様化した今の社会では需要が高く、
いろんなものは「自分の希望通りに」作ってもらえます。
以前、思い切ってアクセサリー(指輪)を作ったのですが、
発注から納品までが驚くほどスムーズで、
オーダーメイドは簡単に楽しめるものだと知りました。
オーダーメイド産業
オーダーメイドは和製英語であり、注文生産のことで、
本来はテイラーメイド、またはカスタムメイドといわれるものです。
制作・製造側が設計やデザインなどを立案したものでなく、
それを購入する側からの発注を経てから製造、納品される商品です。
通常の商品は、お店に並んでいる、デザインや仕様が決定されたものを購入しす。
対してオーダーメイドは、自分の作りたいものや自分に合うものを、
専門の業者に発注し、数日後(品物によってはもっとかかりますが)受け取ります。
ただ好みのもの、体形などにピッタリなものが手に入るだけでなく、
発注後は出来上がり前のチェックなどで、時々制作過程に携わることにもなり、
ものによっては一緒に作っている感覚も味わうことが出来ます。
スーツに関しては、オーダーメイドすることが基本であったため、
その発祥の地イギリスには、「サヴィル・ロウ」という通りに
長い歴史を持つ数多くの仕立て屋さんが、今でも営業しています。
もちろんロイヤルワラント(英国王室御用達)であり、
他国のさまざまな国の王室や著名人にも利用されています。
そういうと、一般人には敷居が高そうなイメージとなりますが、
実際にはいろんな商品で気軽に利用できるサービスであり、
試してみるとメリットも多い手法なのです。
オーダーメイドの特徴
アイテムの色、素材、デザイン、機能、そういったものを細かく指定でき、
洋服だと体形だけでなく、姿勢や動きも考慮してもらえます。
こだわりがある人や、趣味がはっきりした人、何かの目的を持つ人に利用されています。
またどうしても既製品に比べて価格が高くなってしまうため、
その旨を気にならない人におすすめですが、
最近は思ったより安価でオーダーメイドできる商品もあるので、
まずはどのくらいかかるのかを調べてみるのも良いかもしれません。
そして、すでに出来上がっている既製品と違い、注文後の制作となるため
それを使用するまでに時間に余裕があることが必須となります。
反して、既製品のメリットは
・完成した状態で販売しているため、すぐ購入でき、すぐ使用できる
・オーダーメイド制に比べ、安価で購入できる
どちらも良い面があるので、家具などピッタリでないと困るアイテムが必要な時や、
大事な記念品などにオーダーメイドを利用してみる方が多いようです。
一般的なオーダーメイド
一般的にもっともオーダーメイドで利用されるのがファッションです。
服や靴、帽子や鞄などのアイテムを、完全オリジナルで制作してくれます。
もちろん前述のとおりオーダーメイドといえばスーツです。
日本でも需要は高く、銀座などにテーラーと呼ばれる仕立て屋さんがあります。
また家具を自宅の間取りにあわせて注文するケースも少なくありません。
最近はニトリなどの大手でも、ミリ単位で請け負ってくれることもあり、
妙な隙間があいたり、棚が足りずに不満足な思いをすることなく
家の中をカスタマイズすることができます。
特別なシーンでは、ウエディングドレスのオーダーメイドです。
「子どものころから、こういうドレスで結婚式をあげたかった!」
と具体的なイメージを持つ人のために、
イラスト他のドレスを参照し、自分だけのドレスを作り上げていきます。
スポーツ選手なども、より良い結果に結び付けるために
デザインというより機能を特化したものを用意しています。
その他、入学準備としてランドセルをオーダーメイドしたり、
子どもの名前が入った絵本を特注したり、子ども向けのサービスも増えてきました。
気軽にできるオーダーメイド
ものがあふれる昨今ですが、自分だけのものを持ちたい、
世界に一つだけのものをプレゼントしたい、
そういったときにオーダーメイドを利用してみるのはいかがでしょうか。
一番気軽に注文できるのはアクセサリーです。
価格も数千円からと、かなりリーズナブルに作れます。
デザイン画を送り、素材を指定すれば作っていただけます。
カラーストーンと呼ばれる水晶などの半貴石や、
スワロフスキー社製のビーズなどを使ったものは、
誕生日などの贈り物に最適です。

これは私が以前、作ったリングです。
石はサードニクスを指定し、
デザインは「エスニックな鳥」でお願いしました。
後日、完成品のラフ画(イラスト)が
提示されたので、チェックして、了承を返信。
だいたい10日くらい後に、商品が郵送されてきました。
発注から2週間くらいで完成しました。
男性向けにはシグネットリングという、
古くは公的な印章として使われていた種類の指輪が、
今は男性のファッションリングとして人気があります。
次にニーズが高く、女性の利用者も多いのが靴です。
左右の足のサイズが微妙に異なる人は案外多く、
また外反母趾などのトラブルに対応した靴も作ってもらえます。
もしそういった問題を抱えてなくても、
本当に自分の足にピッタリした靴をはくと、
もう既製品の靴には戻れなくなる、と、利用した方に聞きました。
いきなり丸ごと発注するのではなく、
色だけ、など部分的に選択できるセミオーダーや、
鞄やキーホルダーなどに名前やメッセージを入れてみるのも
いつもと違った買い物の楽しさを味わえるかと思います。
注文の時に気を付けたいこと
オーダーメイドするにあたり、自分とお店の互いのために
気を付けたい点がいくつかあります。
①注文内容は明確に
疑問点があればはっきり尋ね、あいまいな点は残さないようにしましょう。
またデザインは「可愛く」「優美な感じ」といったイメージワードだけでなく
サンプルになるイラストや画像を提示しましょう。
②納品までに余裕を持つ
急がせると品質に問題が出たり、トラブルのもとになります。
誕生日や記念日などのために用意する場合は、
期日に余裕を持って発注しましょう。
③プロのアドバイスに従う
制作者はそのアイテムやそれに使用できる素材を熟知しています。
またその商品に関する過去の経験も豊富です。
特にこだわりのない部分に関しては、お任せしたほうが良いものができますし、
「もしそのデザインだと〇〇になり、不具合が起きる可能性があります」と
いわれた時には、修正を考えたほうが結果的に安心かもしれません。
まとめ
オーダーメイドは決して贅沢品ではありません。
日々の生活にこだわりを持つことや、
自分らしさを楽しむ大切さを教えてくれます。
また量産に押されて消えつつ伝統の技や文化を支援する意味合いもあります。
古くからある素晴らしいモノづくりの技術がなくなってしまうのは残念です。
人間の手による、人のための製品づくりを、
楽しみながら大切にして行けたらと思います。
もし機会があったらお試しください。