年金の基礎の基礎(Most basic)

財務
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ファイナンシャルプランニングを行うにあたり、
年金はとても重要なファクターとなっています。

しかしながら昨今は
「何十年も先なんて、どうせもらえないだろう」
「たとえ支給されても、生活の足しにならないような少額だ」

そういった、年金の必要性を疑う声も少なくなく、
未払いについても大きな問題になっているようです。

もちろんさまざまな考え方があるでしょう。
しかしその選択をする前に、年金とはいったい何であるか、
そして支払うメリット、デメリットを知り、
支払わない場合は、老後や非常事態のためにどうするか考え
準備しておかなくてはいけません。

寿命はどんどん延び、病気に対する治療技術も進んでいます。
そして加齢というものは同時に、
身体的・環境的なさまざまなリスクも増えていくのです。

しかも年金は一朝一夕で埋め合わすことができるものではなく
長期的、計画的に支払って行かないと、
恩恵が受けられない仕組みになっています。
中途半端な納付期間では、受給できないことすらあるのです。

その状況になってから嘆くのでは遅すぎです。
今回はFPの観点から、
年金の基礎の基礎についてご説明したいと思います。

年金とは

年金というと
「若いうちから何年も国に支払うことで、老後にお金がもらえるシステム」
といったイメージがあるかもしれません。

しかし年金はそういった「金融的な貯蓄」ではなく、
国が管理する、各国民が「働けなくなった時のための保険」なのです。

公的年金は”社会保険制度”であるため、
年金加入者は「被保険者」と記されています。

そしてこの年金加入者は「第1号」「第2号」「第3号」に分類されます。

第1号被保険者は、国民年金のみに加入している
自営業者、農業、漁業従事者などです。

第2号被保険者は、国民年金に加え
厚生年金にも加入している会社員や公務員などです。
保険料の金額は収入によって変わり、それを”労使折半”といい
勤務先の会社と被保険者が、半分ずつ負担し支払う仕組みです。

第3号被保険者は、専業主婦(夫)など、
第2号被保険者(会社員など)に扶養されている配偶者のことです。
第1号被保険者と同様に国民年金のみの加入となりますが、
扶養されているため保険料を支払う必要がありません。

なお大学生はまだ扶養されていても、第2号ではなく第1号となります。
つまり保険料を支払う必要があるのです。
しかしほとんどの大学生は所得がアルバイト程度ですし
支払うのが難しい場合、申請にすれば保険料の納付を待ってもらえる
”学生納付特例期間”にすることができます(後述)。

 

年金の種類

年金の種類には、加入別としては国民年金と厚生年金の二種類があり
受給別としては老齢年金、障害年金、遺族年金の三種に分けられます。

日本の公的年金制度は、20歳以上60歳未満の全国民が
国民年金に加入する定めとなっています。
それに加え、会社員・公務員の方は厚生年金保険にも加入することになります。

簡単に言えば、会社員は厚生年金のぶんも多めに支払うことになりますが
会社がその費用を半分負担してくれるし、
受給も国民年金に厚生年金分を加えた額をもらえる、ということです。

年金を受け取る受給別としては
老齢年金:原則として65歳に達したときから給付。
障害年金:病気やケガなどが原因で障害認定を受けた方に給付。
遺族年金:亡くなった方の扶養者に対し、生活費の補助として給付。

年金といえば一般的に老齢年金についていわれますが
障害年金や遺族年金も、年金制度の大切な要素です。

つまり年金は、加齢や病気・ケガで、
収入を得る役割だった人が働けなくなった時
生活を助けてくれるシステムなのです。

いつから、どうやって支払う?

第1号被保険者である自営業者、農業や漁業従事者、学生さんは各自、
日本年金機構から送付されてくる納付書(国民年金保険料納付案内書)を用い、
全国の銀行や農協、コンビニエンスストアなどで納めます。
なお、国民年金保険料の金額は、1カ月あたり16,980円です(令和6年度)。

なお、一年分や半年分をまとめての前納・早割が便利でお得です。
クレジットカードで支払うと、ポイントも貯まってさらにお得になります。

支払いが難しい場合
学生には前述の通り、申請すれば在学中の保険料の納付が猶予される
「学生納付特例制度」が設けられています。
同様に失業等により経済的に困難な場合も
「国民年金保険料免除・納付猶予制度」の手続きをすれば
承認された期間は将来、年金の受給資格期間に算入されますので
未納のままにするよりもずっとお得です。
面倒だと思わず、どちらも手続きすることをお勧めいたします。

第2号被保険者である会社員や公務員、およびその配偶者は、
国民年金の保険料を直接納めるのではなく、会社が給料から天引きしています。
金額は従業員に支払われる給与によって決定した保険料を、
従業員と会社が折半して1/2ずつ負担することになっています。

給料が思った額より少ないのは大変ショックですが
将来、国民年金だけでは生活が難しい事や
保険料と貯蓄を同時に支払っていると考えれば
そんなに残念なことではないと思われます。

老齢年金の受給

まずは受給資格を満たしているかが支払いの条件となります。

老齢基礎年金は基本的に全国民が加入することになっていますが、
年金保険料をきちんと納めてたという実績が受給の条件となっています。
現在の条件では10年(120ヵ月)以上の納付があれば受給資格が得られます。
それを満たしていた場合、原則65歳を迎えると受け取ることができます

老齢基礎年金の受給額は”物価スライド方式”といい、
毎年、物価の変動に応じて見直されます。
令和5年度の受給額は満額(40年間、年金保険料を全て納付していた場合)だと
だいたい月額6万6,250円です。
納付していなかった期間の長さによって減額されることになります。

老齢厚生年金の受給資格は、厚生年金は国民年金の上乗せ部分となっているため、
老齢基礎年金の上記受給資格を満たしていることが条件となります。

そのうえで、厚生年金の被保険者期間があるかどうかで判断されます。
ただし実績が1ヵ月でもあれば、老齢厚生年金の受給資格が得られます。

老齢厚生年金は、納めた保険料(つまり給与)によってもらえる年金額が変化します。
保険料はお給料の金額に応じて決まり、「報酬比例部分」と呼ばれます。

老齢基礎年金の繰り上げ/繰り下げ受給

老齢基礎年金の場合は、希望すれば60歳から受け取ることが可能です。
しかし繰り上げた場合は減額され、繰り下げは増額されます。
そしてその額が生涯、続くことになります

老齢厚生年金の繰り上げ受給も可能です。
ただし老齢厚生年金の繰り上げ受給のみはできず、
同時に老齢基礎年金も繰り上げ受給することになります。

障害年金の受給

年金は保険料です。
何かの事情で収入が得られなくなった時のための制度です。

まだ働き盛りの年齢でも、扶養している家族がいても
病気やケガなどで体に支障が生じ働くことができなくなる場合もあります。
そうした際に受給できるのが障害年金です。

長期的なライフプランニングの際には、保険への加入と同時に、
障害年金で受給できる金額についても想定して計算することになります。

障害年金を受給するためには、障害の認定基準に当てはまること、
初診日に国民年金に加入していること、
加入期間の3分の2以上で保険料を納付していることなどの要件があります。

障害年金は老齢年金と同様に、国民年金から給付される「障害基礎年金」と、
厚生年金の加入者には「障害厚生年金」が給付されます。
その額は、障害の重さ(等級)によって異なります。

障害基礎年金は定額制ですが、障害厚生年金は報酬比例制です。

障害基礎年金の受給者に配偶者や未成年の子どもがいる場合、
さらに金額が加算されます

 

遺族年金の受給

老齢年金や障害年金は、加入者(被保険者)本人が受け取る年金でしたが、
遺族年金は加入者が亡くなった場合を想定したものです。
残された家族に支給され、その生計を助けるために給付してくれます。

遺族年金も、老齢年金や障害年金と同様に、
国民年金から給付される「遺族基礎年金」と、
厚生年金から給付される「遺族厚生年金」があります。

遺族基礎年金は障害基礎年金と同様、老齢基礎年金の満額をベースとして、
子どもの数に応じて加算されます。
遺族厚生年金の受給額は、本来支給される厚生年金の4分の3相当になります。

ちなみに法が改正され、専業主婦だった妻に先立たれた夫も
子どもがいる場合は遺族基礎年金を受け取ることができるようになりました。

なお、受け取る遺族の所得制限があるので注意が必要です。

まとめ

いざという時のための保険、それが年金というシステムです。
数々の保障だけでなく、最低限ではありますが、
安心というものを手に入れることが出来るメリットがあります。

正直、リタイア後に生活するには年金だけでは心もとないのが実情です。
そんな人には、私的年金という手段もあります。
私的年金とは公的年金とは別に、企業が福利厚生として用意する年金や、
個人が自分で用意する年金のことです。
企業年金や個人年金保険、iDeCo(イデコ)などが挙げられます。

年金制度に疑問を持つ人や、
老後に強く不安を感じる方はぜひ利用してみてはいかがでしょうか。

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