はじめに
健康診断🏥とは、言うまでもなく、体のどこかに異常がないかを調べる検査です。
以前と比べての体重の増減(身長に対する比率)や視力の低下だけでなく
尿や血液は、体のさまざまな異常を教えてくれます。
学生の時代は例年受けていた健康診断。
今でも子どもたちには進級と同時に、健康票をはじめ心臓や結核の問診票が配布され、
身長・体重の測定や検尿といった基本的な健康診断を行います。
これにより個々の発育状況の確認や、虫歯や視力の低下といった
日常生活に影響を与える項目を見つけ、各家庭に対処を促していくのです。
成人後は、その人の状況によって健康診断の機会が変わってきます。
会社に入社して働く方は、健康診断を年一回受診することは義務と定められています。
同時に会社も従業員に健康診断を受けさせる義務があり、
未受診の場合は労働基準監督署から指導が入ってしまいます。
そのため、その会社で加入している健康保険組合のコースで受診を促されたり
会社によっては巡回健診のバス🚌が職場にやってきて、集団検診を行ったりします。
自営業の方には、特に義務はありません。
しかし病気の発見が遅れ、就業が難しくなり、収入が絶たれるリスクを考えると、
各自のタイミングで健康診断のできる医療機関に申し込み、
ご受診されたほうが安心と言えるのではないでしょうか。
受診項目は健康保険組合によって異なりますが、通常は年齢に伴い、
より詳細なもの、異常が見つかりやすい箇所の検査へと変わります。
例えば加入者の多い健康保険組合である「協会けんぽ」でしたら、
35歳以上は血液やバリウムなどの項目が加わります。
また年齢によっては人間ドックと呼ばれる、
腹部エコーや血液の詳細検査などを含んだコースも利用できます。
(若年の方も受診できますが、健康保険組合の補助が出ず、個人負担となります)
健康診断って意味あるの?
しかしながら、日常生活を滞りなく暮らしている人にとって健康診断は、
面倒で無駄なものに感じられるものかもしれません。
まずは予約の面倒。
会社にバスが来てくれる巡回健診でない限り、自分で予約を取ることがほとんどです。
自分の都合の良い日に出来るというメリットもありますが、
希望の月や曜日はだいたい他の人とも重複するので、取りずらい場合もあるのです。
またせっかく予約していたのに、仕事などの予定が入り、再予約することなったり。
たまに「時間が出来たときにふらっと行けたらいいのに」という声も寄せられますが
健診機関側も基本的に予約者でいっぱいで割込みには対応できず、
前日の夜からの食事制限や当日朝の採尿があるため、ふらっと受診は難しいのです。
次に受診の面倒。
前述のとおり、前の日の食事は何時までに夕食を…といった約束事や
何日前までに検便を採取、当日の朝はすぐ検尿を、といった作業も発生します。
当日も空腹のまま病院に赴き、検査終了後までは食事をとることもできません。
そんな健康診断に対し、意味あるのかな、たいしたことはわからないんじゃないか、
という意見もありますが、レントゲンの影や検便による大腸の出血、
血液検査による何らかの兆しを見つけられるだけでも重要なことなのです。
実際、健康診断によってさまざまな病気が見つかった例はたくさんあります。
「健康診断に引っかかっちゃってさ…」
これをきっかけに早期治療で回復できるチャンスとなりえるのです。
また、せっかく受けても後日病気がみつかることがある、という意見もあります。
しかし病気の進行度が違います。
健康診断を受けずに放置を長年続けた場合との差を考えると、
受けておくに越したことはありません。
もちろん何も結果に出ず、すべて正常値かもしれません。
しかし異常なしとわかることは決して無意味ではありません。
のちのち何らかの異常が見つかった場合の参考になるからです。
そもそも健康診断は会社で働く人の義務であり、
健康保険組合の補助が出るのは通常年に1回のみです。
せっかくの機会ととらえて、有効活用されてはいかがでしょうか。
申込時の心得
前述のとおり人気の時期は取りずらいため、予約は早めに行いましょう。
連休、年末年始は飲食の機会も増えるため、前日の食事制限に気をつけてください。
また会社に勤める人の健診の場合、年度末のご予約は注意が必要です。
「一年に一度必ず受ける」とある場合、年度末ギリギリのご予約だと
万が一受けられなかった場合、再予約が大変難しくなります。
また、予約に関わらず注意していただきたいのが、保険証の確認です。
名前の漢字や読み仮名、生年月日に間違えがないか、よく確認してください。
意外と間違っていることがあるので要注意です。
皆さん「ま、いいか」と思われるようですが、保険証は本人確認にも使用されるほど
個人を保証するものであるので、正確でなければいけません。
健康保険組合利用の健康診断だと、受診時や請求時に問題になる可能性があります。
自分の年齢にあったコースかどうかも確認が必要です。
若年の方が「ちょっと詳しく調べてみようかな」と検査項目の多いコースにした場合
健康保険組合によっては年齢制限(35歳以上のみ、など)があるため、
自己負担として請求されることになります。
逆になんらかのオプション検査を考えた場合、
健康保険組合によっては補助金を出してくれるところもあり、
特に乳房エコーやマンモグラフィーは補助金を出してくれる可能性が高いです。
せっかくの機会ですから、各種ガンやアレルギーの検査、動脈硬化マーカーといった
その検診機関が用意しているオプション検査もご一考ください。
家系的に罹患する確率が高そうな病気を試す価値があると思われます。
もし検査に関することやオプション検査について、わからないことがありましたら
予約の際に健診機関に電話などでどんどん聞いてみてください。
健診直前の心得
一般的な注意事項は、前日の夜は飲酒禁止、夕食は〇時まで、尿は当日の朝などです。
送られてくる受診表などの資料をよく読みましょう。
正しい数値をとるためには、注意事項は必ず守ることが必要です。
健診施設より事前に送られてくる受診表の氏名も確認しておいてください。
保険証と異なる場合は受付や請求時に問題が発生しますので、
あらかじめ健診施設に連絡するか、赤字で訂正しておきましょう。
問診票は大切な情報なので、有効性を高めるためにも丁寧に記入しましょう。
回答に抜けはなく、楕円形の塗りつぶすタイプはレ点などにせず、
できればスイカの種状態🍉をめざしてきれいに枠内を黒くしてください。
分からない部分は空白のまま持参し、受付等で確認しながら記入しましょう。
健診前のダイエットや過度な運動は、体重は多少減らしても、
血液検査など他の部分で何かしらマイナスな結果となることが多いです。
かなり先の予約にしておけば、健康的な生活は長期的・継続して行えます。
健診日という明確な目標があれば、減量もはかどるかもしれません。
なお、保険証は忘れずに。
服装については事前に送られてくる書類にあると思いますが、
健診着に着替える必要のない若年用の健診でしたら、
金具のないもの、腕や腹をさっと出せる衣服で来られるとスムーズにご受診できます。
検診中の心得
何をしたら、どの場所に行けばよいかわからない時はすぐにお尋ねください。
分からなくて当然なので、遠慮されることはありません。
よくあるケースは、緊張されるのか血圧🩸がいつもと変わりがちなことです。
いつもより以上に高い数値が出てビックリされている方もいらっしゃいます。
血圧は初めのほうに測定する場合も多いため、
健診会場には早めに着き、落ち着いてご受診されると良いかもしれません。
採血時やレントゲン時など、体調不良を感じたらすぐ申告しましょう。
健診施設によっては、ふらついた時も安心できるよう
ベッドに横になって採血するなど対策をとるので大丈夫です。
胃の検査でバリウムを飲む場合、苦しかったりげっぷが出てしまったりで
焦ることが多いかもしれません。
スタッフのほうも、これがツライ作業ということを重々わかっていますので
急いだり無理をすることなく進めていただいて大丈夫です。
バリウムを少しずつ飲むのは苦行が長引くだけでなく、
膨張感だけ進行しゲップを抑えることが困難になります。
レントゲン撮影時は「右を向いて」や「回転して」といったお願いを出しますが
全て撮影に重要な手順であり、さまざまな角度で臓器を撮影する必要があるためです。
本来なら詳しく「次は胃の横顔を撮ります~」などとお知らせしたほうが
(説明する検診機関もあります)動作の意味を感じることができるかもしれませんが
早く終わらせることが受診者にとって何よりの幸せだと考えているため、
多少機械的にはなりますが、特に伝えずどんどん進めていくことが多いです。
帰宅時は、解放感や安心感からか、忘れ物をされる方が少なくありません。
特に時計やアクセサリーをお忘れになる方が多いので、
着替えの際は置き場所に要注意です(棚に置かず上着のポケットに入れる等)。
お会計を忘れて帰宅する方もいらっしゃいます。
会社請求であっても終了後の受付が必要な健診施設が多いです。
着替えの後はご確認お願いいたします。
検診後の心得
やっと終わった健康診断ですが、ご受診内容(検査項目)によっては、
いくつか気を付けたほうが良いこともあります。
受診後の問い合わせで多いのは、バリウム排出についてです。
まずは胃バリウムご受診の方は、必ず水をたくさん飲むことをお願いしています。
その日のうちに出る人もいらっしゃいますが、翌日の方も少なくありません。
2日以上出ない場合は、ご受診された健診施設にご連絡ください。
採血された場合、水分を取りしばらくは安静にしてください。
健診終わったー!とダッシュで帰社や帰宅するのは、
再び医療機関に舞い戻る確率を高めてしまいます。
当日は激しいスポーツやサウナは避けるようにお願いしています。
健診と同時に結果が分かる体重の増減、視力の著しい低下といった点については
その日のうちになんらかの対処をお勧めいたします。
日にちが経つにつれ、ショックが薄れ、そのうち後回しになってしまいます。
メガネやコンタクトレンズの再調整や食生活の見直しはすぐに実行しましょう。
そして後日検診結果が送られてきたら、内容は必ず、すぐに開封し確認します。
ごくまれですが、他の人の結果が送付されてくるケースがあるとのことで
まずは受信者の名前と生年月日のチェックをしてください。
A~Eといった判定だけでなく、それぞれの項目(特に血液)の数値も大切です。
そして捨てずに必ず保管しましょう。
健康診断の結果は出た数値も大切ですが、変化の経緯も同じくらい重要です。
前年どうだったか、ここ数年の変化が分かるように、
毎年の分をまとめてファイリングしておくと、今後医療機関にかかる際にも便利です。
おわりに
昔から言われてきたことですが「身体は資本」であり
健康は幸せな生活を築くための礎です。
健康無くして仕事も娯楽もありません。
健康でいるために出来ることは、食生活に気を付けること、
適度な運動をすることなどいろいろあると思いますが
家系的なものもあり、病気になるのを避けることは難しいと思われます。
そしてほとんどの病気は「早期発見」が何より大切です。
また私たちは生活する際、多忙のためか体の異常を軽視してしまう傾向にあります。
「なんかダルイのが続いてるけど、最近忙しかったからなあ」
「どきどきお腹が痛くなるけど、食べすぎや飲みすぎかも」
といった風に、問題ないだろうと判断してしまう人も少なくありません。
しかしなんらかの病気をり患しており、それが進行しつつあるかもしれないのです。
健康診断は面倒な面、大変な面もありますが、
そんな病気の兆しを見つける健康診断の機会を、ぜひ活用してもらえたらと思います。