起床時など、横になった状態から起き上がった際や、急に振り返ったときに
強いめまいを感じることはありませんか?
もしたまに起こるようでしたら「良性発作性頭位めまい症」の可能性も考えられます。
この病気にかかる人が増えていると知り、私もあらかじめ知っていたなら、
もっとスムーズに対処できたのに、と思うことがいくつかあったので
今回、実際の体験談をもとに、この病気についての具体的な対処法をお知らせしたいと思いました。
良性発作性頭位めまい症の体験談
「朝、目覚めたらすぐに世界がぐるぐると回っていた」
「寝ている時に体制を変えたら、いきなり酔ったようなめまいに襲われた」
良性発作性頭位めまい症にはさまざまな症例がありますが、
共通していえるのは、立ったり歩行が困難になるほどのめまいを感じることです。
そのほか、頭痛や吐き気などの症状もあるため、
初めて発症した時には大変驚き、苦しむことになります。
この病気は案外身近なものであり、女子サッカー日本代表の澤穂希さんや
芸人のカンニング竹山さんも発症したことがニュースとなっていました。
私は数年前にこれを発症し、近所の耳鼻科をはじめ、
地元から離れた大きな病院にまで診察を受けに行きました。
症状が類似する他の病気との切り離しが、案外難しかったためです。
良性発作性頭位めまい症とは
この病気は、就寝時や起床時に頭部を動かした際、めまいや吐き気などの症状に襲われる病気です。
症状がおさまる時間は、短い場合は数分で回復できますが、
ひどいときは数時間立ってもそのままのこともあるため、場合や個人差があります。
中高年の女性が発症しやすく、患者数も多いようです。
しかし、もちろん男性や子どもの事例もあるので注意が必要となります。
私も突然の発症でした。
朝起きて目を開けたら、天井がグルグルと回っていました。
眠気や寝ぼけているのかと思い、上体を起こしたら、
そのまま痛烈な吐き気が襲ってきたのです。
これは再び横になっても収まることはなく、かといって動ける状態ではないので
そのままじっとめまいや吐き気に耐えていました。
初めて発症した時には、だいたい1時間くらいで収まりました。
その後も間隔を置いて発症し、早ければ30分程度で回復するのですが、
長いと半日動けない状態になることもしばしばでした。
また旅行中に起きたこともあり、移動に大変苦労することになりました。
良性発作性頭位めまい症の原因
最終的に「めまい症」と判断された病院で伺ったのは、以下の理由(原因)でした。
これは「耳」が原因といわれており、耳石器にある「耳石」という小さなカルシウムの粒が
何らかの理由で剥がれ落ち、三半規管に入り込むことによって起こるそうです。
石が入り込むことで三半規管内のリンパ液が動き、目の動きを司る神経が刺激されてしまい、
めまいが起こってしまうのです。
本来、耳石器にあるべき耳石が剥がれてしまう原因については
・高齢化による器官の劣化
・頭部打撲による衝撃
といった理由のようです。
(私は耳掃除が好きなのですが、関係あるのかと思い尋ねると
医師からは関係ないです、と言われました)
また枕なしで寝ると頭部が低くなるため耳石が入り込みやすくなったり、
あまり寝返りをうたず長時間、横を向いたまま寝る人も発症しやすいといわれています。
加齢による劣化や落ち着く寝相など、原因としては誰にでも起こり得るものでした。
良性発作性頭位めまい症の診断
めまいを症状とする病気はたくさんあるので、病院では様々な検査を受けることになります。
そのため、小さな町の耳鼻科から、それなりに検査のできる病院、
最終的には大学病院に紹介状が出され、見ていただくことになりました。
耳鼻科で判断つかなかった後、やや大きな病院を紹介されました。
そこで女性で多い病気の一例としてメニエール病もあげられ、
そのための検査を行いました。
(人によっては初めはこちらと診断されてしまう方もいらっしゃるかと思います)
メニエール病との違いは、
・メニエール病には、耳鳴りや難聴を伴うことが多い
・良性発作性頭位めまい症は頭部を動かすタイミングで発症するが、メニエール病は関係ない。
・メニエール病は安静にし収めるが、
良性発作性頭位めまい症は多少無理してでも頭部を動かすと回復が早まる
私には難聴や耳鳴りといった症状はまったくなかったので、他の検査の結果からも
メニエール病ではないと判断され、次に大学病院を紹介されました。
たかがめまいとはいえ、もしかすると脳梗塞や脳腫瘍脳といった、
脳に関する病気の可能性があるためです。
そこではスキャンや歩行テストや、耳に冷風を吹き入れる温度眼振検査で、
半規管の機能をチェックされました。
(このテストはめまいを強制的に起こすのでなかなか辛かったです)
ここで脳ではなく、最近多い良性発作性頭位めまい症と診断されたのです。
良性発作性頭位めまい症の治療・対処法
この病気の特異と感じられるところは、その治療法(対処法)です。
通常、なにかの病気を発症した際には、薬などでその症状が起こらないようにするのですが
これに関しては真逆と思われる処置を取ります。
つまり「なるべく頭部を同じような状況で動かして、症状を起こす」のです。
ちなみに私は(多くの方がそうかもしれませんが)薬は処方されませんでした。
各病院のサイトで「寝返り体操」といわれる運動を行います。
仰向けに寝た状態から、右横に向き10秒、また上を見て10秒、次は左に10秒。
これらを繰り返すのです。
(めまいや吐き気も再現されますので、時間に余裕のある時に行います)
この運動を習慣化することにより、耳石が耳石器に戻り再発を防ぐことができたり、
症状を軽減することができるのです。
最初は案の定、めまいが再発するので不快ではありますが、
やぶれかぶれでも続けていくと、めまいや吐き気に慣れていき、
第一の効果として動揺や不安感がなくなってきました。
そして耳石が移動し正しい位置に戻るころには、
発症する確率がぐっと下がったことを実感できました。
ただし、良性発作性頭位めまい症になりたての頃は、その発症も頻繁であり、
症状も強く感じられるため、とても辛いことと思われます。
また発症は起床時が多いこともあり、
その日の予定などを考えると大変困る事態となりました。
「もし、明日なってしまったら・・・」と思うと予定も入れづらいものがあります。
そこで私は、三半規管の異常が原因であり、めまいや吐き気という症状から、
発症時すぐに「乗り物酔い用の酔い止め」を服用してみました。
効果はあり、早めに回復することが出来、就業や家事を問題なく行うことができました。
これを身近な発症者(主婦や学生)に伝えたところ、ほとんどの人に効果がみられました。
もちろん人によっては効果が薄かったり、フルーツ味の軽めの酔い止めでOKの人もいれば
「アネロン」のような船乗りさんが服用するようなものでなければ効かない人など
いろいろなケースがあるようでした。
もともと市販の酔い止めは、基本的に健康な状態(まだ酔ってない元気な状態)でも
飲むものなので問題ないかと思われますが、あくまで個人的な感想です。
これについては自己責任で行っていただければと思います。
とりあえず枕元やポーチに酔い止めがあると、
「いざとなったらこれがある」といった安心が得られたことが一番重要でした。
まためまいが起こるとわかっている、寝返り体操を行う際にも有効でした。
まとめ
たかがめまい、と言われても、本当につらい症状です。
なるべく多くの方が「明日は大事な予定があるのに、なったらどうしよう・・・」
といった不安から解放されますようお祈り申し上げます。