中高一貫校のデメリット(中高一貫校の基礎情報)

中高一貫校情報 教育
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中学進学にあたり、地元の公立だけでなく
私立や公立の中高一貫校への進学も年々増えているようです。
去年度、首都圏では中学受験をする小学生の割合が5人に1人と、
過去最多だったと報じられていました。

現在、迷っているご家庭もあるかと思います。
うちは子どもが都立中高一貫校を卒業しましたが、
結論から申し上げますと、本当にここに通って良かったと
親子ともども思っています。

恵まれた教育環境、模範となる上級生たち、
独自のカリキュラムや特別授業、
受験に圧倒的に有利な先取り学習。

中高一貫校でのメリットを述べるとすれば
それこそ山ほどあげられますが、
どんなものにも必ず、デメリットはつきものです。

例えば、塾のサイトなどで
デメリットとして挙げられるものとしては
”レベルが高く応募者数も多いので、入学が困難”
”入ってからの学習進度が早くて落ちこぼれる子がいる”
などが多いようです。

しかし実際、子どもを6年間通わせてみて、
”これはちょっと問題、または残念だな”
”これは学校とは別に、親のフォローが必要かもしれない”
そう感じた点を、いくつか挙げたいと思います。

ひとりの保護者の個人的な感想に過ぎませんが、
参考のひとつにしていただければ幸いです。

~参考図書~

中学受験 子どもの人生を本気で考えた受験校選び戦略

中学受験 大逆転の志望校選び 学校選びと過去問対策の必勝法55

日能研の学校案内 首都圏・その他東日本版

上には上がいて焦燥感にかられる

これは入学してクラスや部活に馴染み始めた頃には
落ち着いて周囲の状況を見られないこともあり、
なかなか気づかないのですが、
すっかり落ち着いたころ、
さまざまな”学校のスゴイ子・スゴイ先輩”について
お子さんが興奮気味に語ってくると思われます。

ハイレベルな中高一貫校には、かなりの割合で
ものすごい能力を持った人や、とてつもなく賢い子がいます
数学や理科分野でのオリンピック出場者や、
何らかの研究において、すでにスポンサーまで付いている子。

勉強だけでなく、絵画や音楽、スポーツなど
”天は2物も3物も与えちゃったんだ!”と驚くような
才能あふれる子が、それこそゴロゴロいるのです。

上位の中高一貫校にくる子は、ほとんどが小学校時代、
学校はおろか学区でも1番の学力を持っていた子が多いです。

しかし進学と同時に、勉強については上には上がいて、
それ以外の才能にもあふれた子を見ると、
奇妙な劣等感や焦燥感を感じてしまう子もいるようです。

大人からすれば、本来比べるようなものではないし、
その子がその子らしい得意や好きなものを
見つけてくれた充分なのですが
繊細で賢い子は心が折れたり、悲しくなってしまうかもしれません。

この点は入学前から、入ってからはマイペースを保つよう
自分軸を育ててあげるようサポートしておくことをお勧めいたします。

やや世間知らずになる

中高一貫校を受験させるご家庭は、
教育意識がそれなりに高いご家庭が多いです。

もちろん全部ではありませんが、
子どもに対してきちんと向き合い、
多少過保護なくらい面倒をみてあげる家も少なくありません。

さらに、やはり収入の安定した家庭が多く、
高確率でとんでもない富裕層もいたりします。

実際、学校の先生も、校外授業や修学旅行などで、
お金の使い方が大胆な子もいる、とこぼしていました。
(けっして無駄遣いや金持ちマウントではなく、
 ちょっと高めのアトラクションなどを、
 躊躇なく申し込む、といった程度の話です)

そのようなご家庭の子息に6年間囲まれて過ごすと
どうしても世間の大変さや醜さを見ることや感じることが少なく
公立中学に通っている子に対して
現実的な多様性に弱いように思えました。
貧困者や家庭不和の人に対する配慮が、
どうしても甘くなってしまうように見えるのです。

世の中、いろいろな人がいて、いろいろな事情を抱えている。
そんなことは彼らもわかっており、
世界の経済格差や難民問題などは大人より詳しく
問題解決について考えたりしているのですが、
身近な問題としてはあまりピンと来ないようで
親のネグレストによって
“世間には一日の食事が、給食のみの子どもがいる”という話を
現実のものだと思えない子もいるようでした。

知識という脂の乗った養殖の魚にならないためにも
偏りがちなネットのニュースだけでなく
新聞や家族の会話などできちんと
”リアルな世の中”を知らせておいたほうが、
のちのちの子どものためになるかと思われます。

~参考図書~

子ども教養図鑑 世の中のしくみ:
キミはどっちを選ぶ? 大人でも答えられない社会の難問に向き合おう 

図解でわかる 14歳からのお金の説明書

10才までに知っておきたい 世の中まるごとガイドブック基礎編

友だちと遊びづらい

中学生も高校生も、勉強すべき年代ではありますが
何よりまだまだ遊び盛りでもあります。

コミュニケーション能力は生活において基盤となるものです。
それを磨くためにも、
さらに学校生活に対するストレスを軽減するためにも
友だちとの交流は大切にしたほうが良いと思われます。

しかしながら受験した場合、どうしても広域から集まるため、
友だちと遊びづらかったり、集まりづらい面がありました。
空いた時間にちょっと遊ぼう、というのがやりにくく、
事前にお互いの予定を確認し、日時や集合場所を決める必要があります。

この交渉やスケジューリングは、
大学生や大人になってからも必要なスキルであるため、
練習になるといえば良い面ともいえるのですが、
”友だちと会う・遊ぶ”というのが
中学生にしてはハードルが高くなることが
引っ込み思案だったり面倒くさがりのお子さんには
かなりネックかもしれません。

そのため、インターネットやSNSで会話したり
家に居ながら一緒にゲームする機会が増えるのも
(switchやプレイステーションなど)
”長時間やりすぎ”など
新たな問題を生み出すことになりました。

人間関係の失敗が気になってしまう子がいる

思春期の6年間、本当にいろんなことがあると思います。

小学生を卒業したての幼さや、
希望校に入学できた解放感などから、
入学してしばらくは人間関係に落ち着きがなく、
なにかとトラブルに見舞われることも少なくないようです。

繊細なお子さんは、一度人間関係で失敗してしまったら
卒業まで尾を引いてしまうかも、と思ってしまうようです。
部活の先輩と揉めた、クラスの子と喧嘩した、
そう言った事例で、もう残りの日々が苦痛になり
学校を休みがちになってしまう子もいました。

しかし実際はそんなことありません
中高一貫校の毎日はとてつもなく忙しく
誰かの出来事についていつまでも構っている人がいないのです。
むしろ失敗してないと思っている子の方が少ないと思いますし
みんな数日は気まずかったり、落ち込むのですが、
次のイベントや定期テストなどが始まるにつれ
上手く切り替えていくようでした。

みんな忘れるか、気にしないか、
知的に成熟すればするほど、
過去については放っておいてくれます。

さらに、うちの子が卒業式の後で言っていたのは
”互いにダメな部分を知っているから、この先も大丈夫”
ということでした。
振り返れば、中学・高校時代にさんざん、
お互いのみっともないところや
やらかした事件を知っているからこそ、
ゆるぎない信頼や、絶対的な友情を持ちえた、と。

カッコいい面、善良な面だけでなく、愚かで情けない姿。
6年かけて、そのどちらも知っている友情は本物なのでしょう。

~参考図書~

メンタルが強い子どもに育てる13の習慣

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進学に対する基準が高い

学習意欲が高い子が中学受験をするため、
入学後も自動的に、大学進学に対する基準がかなり高くなります

うちの学校は、保護者向けの進学説明会などで、
記入例がほぼ東京大学でした。
そして子どもたちの進学希望も、
ほとんどが早慶などの上位私立か
旧帝大などの国立に絞られており、
それ以外は受かっても行かない、と決めている子もいました。

周囲がみんなそうだと、お子さんも強く影響されます。
高くて当然、といった雰囲気に戸惑いました。
特に超進学校に入学した場合、
うちの学校に入ったのに、おいそれと普通の大学には行けない
と妙なプレッシャーを自分にかけてしまう子がいるそうです。

先生方も保護者も、自分の学びたいことや学力を考慮して!
と思っているのですが、
子どもたちの野望は、共通テストのギリギリになっても
途絶えることはありませんでした。

学校のネームバリューだけでなく、
シラバスや資格などをきちんと調べた上で、
何を学ぶか、それを学んでどうするのか、
そういったことも考えて選んでほしいと思います。

余計なものを背負わないよう、
事前に折に触れて話しておくなど、
保護者が見守ってあげる必要があると感じました。

事前には読めない”学年カラー”

校風を知るために、学校見学や説明会に参加されると思います。
しかし学校見学では分からない、
”学年のカラー”というものがあるのです。

それは公立中学でも同様なのですが、
学校の雰囲気とは別に、学年によって雰囲気が違うのです。

異常に学習意欲が高い学年(平均点がめちゃくちゃ高いです)、
部活やイベントに全く無関心な学年、
ちょっとやんちゃな子が多くトラブルを起こしがちな学年、など。

こればかりは入ってみないと分からないため
保護者としても本人としてもくじ引きを引くようなものです。

ただし入ってから、思うような学年カラーであっても
そんなに嘆く必要はありません

これは徐々に変化するものだからです。
先生方の手腕なのだと思いますが、
”この学年は大変だ!”と思っていても、
次第に落ち着きをみせますし、
”みんな大人しくてつまらないのかな?”と思っていても、
後期(高等部)に入ると
いきなりイベントを楽しむようになる子もいます。

思ったような学年カラーでなかった時のために、
学校選びについては、シラバスや学習サポートといった
おそらく不変であるものを基準にし、
校風や生徒のイメージなどは参考程度にしたほうが良いと思います。

中学卒業がない

先生方も気になさっていましたが、
中学卒業の仕切り直し感が無いのは、
どうしても緊張感に欠けるようです。

三年生で急激に成績が下がったり、
学校を休みがちになる子もいました。
中学では大丈夫でも、
高校は成績が悪かったり出席しないと留年します。
この時期にそういった状況に陥ることは
大変リスキーだと言えるでしょう。

さらに目的意識が無い子どもは、
前期(中学)をどうしてもダラダラと過ごしてしまいます。
中学生は大学受験に対して、
そこまで真剣になれないせいもあるかもしれません。

これらは本人が、学業や部活などで
一定の目標を作っておく必要があります。
3年までに英検準2級を取る。
化学コンクールに応募する。
青チャートを一周する、といったものでも良いでしょう。

中学期のメリハリを、自分で作るよう
ぜひ勧告してあげたほうが後期(高校)に上がった際に
調子よく大学受験へと進めると思います。

なお、地味に残念だったのが、
中学の卒業アルバムがないことです。
中学生活での写真は、
自分でまとめておけば良かったと思います。

最後に

一般的なデメリットである”課題が多い”は、むしろメリットです。
これによって確実に知識が彼らの血肉になるからです。

そして”授業の進度が早い”も同様です。
無駄が一切ない、予習と復習が必須である学習こそ
”知識を得るために通う”学生の本分だと思うからです。
何より、大学受験に対して、
早めに出題範囲を終えるのは何より価値が高い事です。

ただメリットだと思えることが、
デメリットに変わることもあります。
また期待していたものが得られないかもしれません。
しかし、それは公立・都立・私立に関わらず言えることです。

学校に期待しすぎない
デメリットも心得て、
親と本人が状況を見ながら臨機応変に対策を取る

そうすることで、どんな選択をしても
きっと切り開いていけるのではと思われます。

どのお子さんも、自分にとってのベストな道を見つけ、
不安な受験をうまく乗り越えられることをお祈りしています。

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