授業について(中高一貫校の基礎情報)

中高一貫校情報 教育
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中高一貫校を受けるかどうか検討中だったころ、
その学校の在校生は、どんな学校生活を送っているのか知りたいと考えました。
とりわけ重要に思えたのが、学校の雰囲気や習慣といった普段の生活の中でも
授業内容についてが最も気になるところでした。

やはり学生の本分は勉強であり、より良い環境で学ばせたいという願いが
受験の目的であることに間違いないからです。

同じように考える保護者の方も少なくないと思われ、
子どもが学校見学日などに会場の案内といった仕事をした際、
保護者から質問を受けることが多い内容だったのです。

したがいまして今回は、普段の授業についてだけでなく、
地元の公立校ではあまり見られない授業はあるか、
そこでしか体験できない講義などどういったものがあるのか、
なるべく具体的に紹介したいと思います。

なお内容については、我が家の子どもの学校および学年に関する事実のみであり
感染症終息後はもちろん、他の中高一貫校や、他の学年の担当する教師など
それぞれ大きく異なる可能性があることをご了承ください。

授業について

中高一貫校の授業は、英語や数学、理科といった
シンプルな課目分けをされているわけではありません。

数学は最初の段階から幾何と代数に分かれ(チャート式でおなじみです)ています。
英語も読み、書きだけでなく「聞き取り回答する」実践的な授業にも比重が置かれています。

後期(高校)になると現代文、古文、漢文でそれぞれ違う授業となり、
当然、テストはそれぞれで受けることになります。

前期生(中学)の間は芸術4教科である体育、音楽、美術、技術家庭は
公立校と同様に行いますが、出される課題の多さが違います
自分で調べたり、作ったり、それをレポートとしてまとめたり、
実技以外のさまざまな能力が要求されます。

そして上記の「普段の授業」以外にも、さまざまな講義や体験学習が用意されていました。
それぞれ項目にわけて、順次ご説明いたします。

普段の授業内容

授業の進め方はほとんどが従来の、黒板の前で教師が講義する一斉授業の形式ですが
課目によっては、机を全体で向い合せる「アクティブ・ラーニング」など
生徒が主体的に発言する形式もあります。

小学校でも道徳の授業などで、何かの問題の是非をみなで討論する場が設けられましたが
その他の科目でもグループで討論や調べ学習といった形で、知識を体感的に学ぶそうです。

内容の進度については、とにかく早いです。
また難易度も高く、通常はもっと高学年で学ぶことも早めにどんどん習得していきます。

数学は二年までに代数と幾何を終え、中三になるとすでに数1を進めていきます。
その他、理科や社会も初めから詳細を教わります
例えば生物の授業で細胞について教わるときは、
核やミトコンドリアだけでなく、ゴルジ体やリボソームといった全てを覚えることになります。
歴史についても、教科書で太字になっている文言にあわせて
それが起きた時の他の社会事情なども踏まえることになるので、
出来事のみの部分的な過程を学ぶというよりかは、
世界全体がどのように変わっていったのか知ることになります。

課目によっては小テストがときおり出され、こまめに理解度を確認されます。
学校説明会でもあったかと思われますが、宿題や課題も多いです。

ただしこういった内容も、ほとんど5年くらいまでで終わります。
6年生になると特別講座(特講)という自由選択科目が設定され、
早めに履修したぶん、残りの在学時には苦手の復習をしたり、
好きな分野をより追求し、進学に備えていきます

公立中高一貫校適性検査対策問題集作文問題

定期テストの内容と評価、補習など

中間テスト、期末テストは細分化された課目のせいもあって、
公立校に比べて一日に受ける項目の多さに驚きました。
例えば通常、期末テストは9教科を三日で分けてテストする公立校が多いと思われますが、
中高一貫校ではなんと14教科前後を4日に分けて受けることになり、
一日4教科の日もざらにあります。

つまり前日の付け焼刃で対抗できるような内容ではなため、
普段の勉強がとても重要(というか必須)になってきます。
もっと言えば、授業で学ぶその時に理解し覚える必要があるのかもしれません。

テストの後は数学系は「間違ったところを全て解きなおして提出」するため、
テストの点が低い人ほど苦労する羽目になります。

基本的に追試は用意されていないようですが、
先生によっては補習や再テストを行ってくれる場合もあるようです。

テスト後には平均点だけでなく、簡易的な順位表も個票として配布されます。
(80点以上は何人、60点以上は何人、といった分布表なので、厳密な順位はわからない)
総合順位の概算もわかるので、見るとなかなかショックを受けます。

しかし学校側はそんなに順位自体は問題にしておらず、
「多くのお子さんはこれまで、学年で基本的に1番だった人が多いかもしれませんが
 ここでは半分の生徒は平均以下になるんですよ、順位だけを気にしてはダメです」
と1人の先生がおっしゃっていました。
個人個人がどのくらいきちんと理解し習得しているかが大事なようです。

学年にあわせて

課目自体は、文系・理系に分かれることなく、卒業まで全ての教科を学ぶことになります。
それ以外に学校には「この学年にはこれを学び、達成してほしい」と考える基準があり、
それぞれにテーマや課題が設けられています。

そのため一学年は一学年の、二年は二年の、といった感じで
その学年でやるべき特別なカリキュラムがあります。
研究テーマが出され(自分で決め)、調べたり実験し、それをまとめ発表する
その流れを繰り返し練習していきます。
テーマは化学的な研究をはじめ、日本文学から世界の三大宗教、
物理実験から数学の証明などさまざまです。

校外学習も多く、地層を見に行ったり、歴史跡を散策するなど、
なにかしらの課題や目的を持ったイベントになっているようです。
(本人たちは遠足のように単に、面白かった~!と言っていますが)

そのほか外国語修得のための施設に二泊三日で滞在した時は、
英語のレッスンだけでなく、体育や数学の授業を英語で行ったり、
自分たちで台本を考えた短い英語劇を演じるなど、いろいろな形で学んだそうです。

昨年は感染症のため開催が見送られたそうですが、
海外への研修も行っており、自律に向けて大きな成長を遂げる機会となっています。

なお各検定試験も強く推奨され、漢検、数検、英検は定期的に申し込みの案内が来て、
一年に一度は必ず全員受験することになります。
目標の級が設定されており、だいたい前期の間に英検準二級をとる子が多かったです。

 

特別授業

ときどき通常の授業とは離れて、特別な講義や実習を行います
地学の先生の指導により、夜間学校の屋上で天体観測を行ったり、
英語のスピーチ校内コンテスト、ディベートの訓練などです。

ときおり外部講師の方を招いて、さまざまな講習会を設けています。
内容は分野をまたがり多彩な内容となっており、親も参加することができるものがあります。

例えば、マスコミなどが示すデータの危うさなどを知るメディアリテラシーの読み解き方や
科学分野の著名な博士を招いての講演や、さまざまな数学研究、
卒業生の起業体験、国家公務員としての仕事についてなど様々です。
希望する在校生は事前に申請すれば、どれも参加することが出来ます
(入場制限がある場合は抽選になります)。

また後期には希望者には自由選択科目として、
ドイツ語、フランス語、中国語から選んだ第2外国語を学ぶことができます。

職場体験も行われ、学校周辺だけでなく、離れた場所に3,4日勤務していました。
スーパーや古くからある商店、博物館や神社、保育園など、
2,3人ずつに分かれて派遣され、最後にその実習レポートを提出していました。

まとめ

とにかく毎日慌ただしく、はたからみると大変そうで忙しく過ごすことになります。
レポート提出やディスカッションに慣れるのはとても良いことだと思われますし
本人たちも、なんだかんだで毎日大変楽しいと話しています。

こんなにたくさんを一気に修得するのは難しいと考える向きもあるかもしれませんが
できる・できないは置いておいて、それを学ぶ機会を与えられ、
少なくとも体験することができるのは大変得難いもの
であり、
たとえ完全に身に着けることができなくても、なにかしらの実になっていると思います。

また多くの中から、より自分に必要なものや自分の目指すものを見つけることができ、
将来においての選択肢が広がることにつながります。

そして多少強制的にはなりますが、落ち着きのなさや反抗心、
過剰な自意識または重度の無気力といった思春期特有の不安定な精神を、
知識の習得や珍しく新しい体験といったポジティブなものに向けることができるのは
子どもにとっても親にとってもありがたいことだといえます。
(怠惰な時間を過ごす余裕はあまりないようなので)

こういった授業を受けられる中高一貫校は、ただ受け身に過ごすのではなく
より主体的に実践的に人生を過ごすことができる場といえるでしょう。


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